9日間も応援に入った東京補欠選で惨敗

小池百合子東京都知事の“女帝”の座が危うくなっている。

4月28日に投開票された3つの補欠選挙は、自民王国だった島根1区でも立憲民主党の亀井亜紀子氏が勝利して、裏金問題を含む不祥事が続発する岸田自民党への逆風が、予想以上に強いことが裏付けられた。

記者会見する東京都の小池百合子知事=2024年4月5日、東京都庁
写真=時事通信フォト
記者会見する東京都の小池百合子知事=2024年4月5日、東京都庁

島根ほどではないが注目されたのは東京15区だった。ここは小池都知事が自ら推し、全面的に支援した乙武洋匡氏が落選したのだ。それも当選した酒井菜摘氏からは約3万票も離された第5位だった。

朝日新聞デジタル(4月30日4時00分)によると、小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」のある都議は「負けすぎ」とつぶやいたという。

「乙武氏の選挙は、文字通り小池氏が仕切ったものだった。3月末の定例会見で、都民ファ政経塾の講師役などで縁のあった乙武氏の擁立を初めて公表。12日間の選挙戦のうち9日間も応援に入った。

『乙武洋匡、何としても勝たせていただきたい』。運動員と同じジャンパー姿で選挙カーからも声を張り上げた。『自分以外の選挙で、こんなに力を入れているのは見たことがない』(側近)という奮闘ぶりだった」(同)

「学歴詐称疑惑」は前回知事選でも燃え上がったが…

小池氏は今夏、自身が3選に挑む都知事選挙が控えている。それだけに力の入れようも違ったのだろうが、彼女にとって大きな痛手になった敗戦であった。

落選が決まった28日の夜、乙武氏の選挙事務所に姿を見せず、支持者から不満の声が上がったという。

2期目の前回の都知事選では、選挙前の5月下旬、ノンフィクション作家の石井妙子氏が『女帝 小池百合子』(文藝春秋)を上梓し、その中で小池氏のカイロ時代のかつての同居人が、小池氏のカイロ大学首席卒業は作り話だと告発した。

これが大反響を呼び、都議会でも自民党や共産党が「小池都知事のカイロ大学卒業証書・卒業証明書の提出に関する決議案」を提出し、大騒ぎになった。

だが、突然、駐日エジプト大使館がフェイスブック上でカイロ大学長名の声明を英語と日本語で公表した。

「カイロ大学は、1952年生まれのコイケユリコ氏が、1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する。卒業証書はカイロ大学の正式な手続きにより発行された」

日本のジャーナリストがたびたびこれについて疑義を呈し、信憑性に疑問を抱いているが、これはカイロ大学および、カイロ大学卒業生への名誉棄損であると警告。これが続くようならエジプトの法令に則り適切な対抗手段を講じると表明したのだ。